BEST BOOKS 2018

対象は2018年に刊行された単行本および文芸誌に掲載された文章。 20. 古川真人『窓』 新潮 2018年 07 月号 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2018/06/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (1件) を見る 19. 畑野智美『水槽の中』 水槽の中 作者: 畑野智…

森見登美彦『熱帯』

「重い、真摯なものを避け、斜めに書く姿勢をよしとしている作風が鼻につく」と難癖をつけられてからはや12年。時は満ち、ついにリベンジの時。森見登美彦の新作『熱帯』が満を持して直木賞へと突き進む。 君はもう読んだであろうか。この傑作を。 この本を…

石田祐康『ペンギン・ハイウェイ』

ぼくはそのふしぎさをノートに書こうとしたけれど、そういうふしぎさを感じたのはノートを書くようになってから初めてのことだったから、うまく書くことができなかった。ぼくは「お姉さんの顔、うれしさ、遺伝子、カンペキ」とだけメモを残した。 夏休み。今…

新しいという不気味の快楽 ―鴻池留衣「ジャップ・ン・ロール・ヒーロー」を読んで―

分かりやすいということは心地よい。それは僕らの存在を一見無条件に肯定してくれるから。良いものが悪いものをうち倒すという明快なストーリーに世界の溜飲が下がる。同じ感情を共有するという安楽に包まれて、僕らは自分が世界に生きていることを再度確認…

鄭義信『焼肉ドラゴン』

「言わなければ分からないじゃないか」と言う人がいる。コミュニケーションができなければ人間として価値がないのだとでも言うように。でも、本当の痛みは言葉にはなれない。はっきりと言える人間に、この苦しみが分かるのだろうか。 この『焼肉ドラゴン』と…

平野啓一郎「ある男」

「自分とは誰なのか」という問題に一度は突き当たったことがあるのではないか。今まさにここにいる自分と、一秒前にここにいた自分が同じ人間だとだれが断言できるのだろう。この世界には無数の自分がいて、その時々で違う自分が顔を出すのかもしれない。こ…

崎山蒼志という怪物の衝撃

崎山蒼志という怪物の才能に踏みつぶされてしまった。AbemaTV「日村がゆく!」で披露されたその楽曲の素晴らしさに魅せられた人は多いのでは。向井秀徳を彷彿とさせる存在感。不安定なボーカルと疾走するそのギターは、自転車でぐっと冬の坂を下るときのよう…

山田尚子『聲の形』 投げて、落ちて、拾われる

『リズと青い鳥』の興奮に便乗して、恥ずかしながら見視聴だった『聲の形』をTSUTAYAで借りてきた。 全体のモチーフをさりげない描写の一つ一つに投射していく丁寧さ、言葉の外への真摯なまなざし、観る人の感情を動かすエンターテインメント性。傑作である…

山田尚子『リズと青い鳥』 互いに素の美しさ

どうやら、完璧な美しさに出会ってしまったらしい。 Homecomingsのエンディング目当てだった『リズと青い鳥』という映画にすっかりやられてしまった。京都の高校を舞台に、二人の少女の関係を描いた90分。自分には訪れることのなかった麗しき青春を前にひれ…

私の理想郷を返してください

赤の他人の旅行なんて、とことん興味がないものである。 この荒涼としたインターネット砂漠に星の数ほどのさばる旅行記を見るといつもそう思う。ほら、よくバックパッカーがやってるでしょ。訪問先の国で体験したあれこれを書き連ねたブログ。確かにそういう…

国分拓「ノモレ」

集団の記憶というものが、ある。 脳裏に蘇る光景が、なんだか自分一人の記憶でない気がしてくる。それは確かに僕が見た景色なのだけれども、僕ら(・・)が見ていたような感じもする。そんな体験が、ある。 新潮 2018年 02 月号出版社/メーカー: 新潮社発売…

BEST BOOKS 2017

2017年に刊行された単行本と文芸誌に掲載された作品が対象 10.橋爪駿輝『スクロール』 9.坂元裕二『往復書簡 初恋と不倫』 8.森見登美彦『太陽と乙女』 7.佐藤正午『月の満ち欠け』 6.こだま『夫のちんぽが入らない』 5.石井遊佳「百年泥」 4.滝口悠生『高架…

ミツメ「エスパー」

あれは高校二年生の時だったか。冬。新宿のタワーレコードであるポップが目に入った。「スピッツとくるりのいいとこどり」たしかこんなうたい文句だったと思う。視聴してみた。泣いた。こんなにも自分の理想と合致したバンドがあることに、舞い上がってしま…

スピッツ『オーロラになれなかった人のために』

オーロラになれなかった人のために アーティスト: スピッツ 出版社/メーカー: ポリドール 発売日: 1992/04/25 メディア: CD この商品を含むブログ (22件) を見る エスキモーの言い伝えによると、死んだ人間はオーロラになるという。「オーロラになれなかった…

前田司郎「愛が挟み撃ち」

文學界掲載の前田司郎「愛が挟み撃ち」を読んだ。 文學界2017年12月号 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/11/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (1件) を見る 「愛の挟み撃ち」ではなく「愛が挟み撃ち」であるところがまず信頼できる。二人の男…

三島由紀夫『仮面の告白』

本日快晴。外では木枯らし一号が吹き荒れる。真っ青に晴れた高い空の下で、冬の訪れを感じさせるカラッとした北風に吹かれる瞬間の感情。夏の反対側に来てしまったという悲しい喜びが、憂いの光を浴びた冷たい頬を染めていく。こんな気持ちをみんなと分かち…

前野ひろみち『ランボー怒りの改新』

蘇我入鹿ロケットランチャーをぶちかますこの本を、読んだ人間の十人に八人は阿呆の世界だと表現するだろう。あとの二人は阿呆である。 ランボー怒りの改新 (星海社FICTIONS) 作者: 前野ひろみち,KAKUTO 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/08/11 メディ…

佐藤正午『月の満ち欠け』

輪廻というものがあるかと問われたら、何と答えるだろうか。「科学的」に答えるのならば、そんなものはないよとうそぶくほかない。死とは、向う側のない完璧な絶望である。人間は死んだら、一つの肉塊となるのだから、脳の活動停止とともに魂も消えるし、魂…

石井遊佳「百年泥」

新潮新人賞「百年泥」を読んだ。 新潮 2017年 11 月号 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/10/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (1件) を見る インドのチェンナイで日本語教師を務める女性の物語。作中、特に何かが起きるわけではなく、下手をする…

キューバ ~カリブ海の小インド~

リアルタイム 8/13 東京 ご無沙汰しております。中南米旅行をとうに終えて、実家でポケモンgoとかやりながらのんきにしてます。これまでブログを更新してこなかった言い訳としては、キューバ滞在中の一週間ほとんどネットが使えず記事を書けなかったことがま…

タコス、トイレ、ピラミッド。 メキシコシティとテオティワカン遺跡

リアルタイム 6/29 東京 とっくに帰国しています。キューバにいた間にネットが使えず、メキシコの記憶が曖昧になったりして更新面倒くさすぎてさぼってました。 5/20 いよいよ南米ともおさらば。朝一の飛行機でクスコ→リマ→パナマを経由してメキシコシティに…

スタンド・バイ・ミーでマチュピチュへ

リアルタイム 6/21 メキシコ 腹痛でタコスが思うように食べれない。6/12 インカ帝国の首都クスコに到着。クスコとは、ケチュア語(いわゆる「ネイティヴアメリカン」の言語の一)で「へそ」の意。その名の通りインカ帝国においてクスコは世界のへそ、中心であ…

レインボーマウンテン

リアルタイム 6/23 メキシコ プロ野球が気になってきた。坂本が首位打者って、信じられん。6/16 休養日。何したか全く記憶がない。とりあえず、マチュピチュツアーで削られた体力の回復に努める。明日は通称レインボーマウンテンへのツアーに参加する。レイ…

ペルーにて、スマホを買う

リアルタイム 5/18 ペルー 今日は休養日。5/9 ラパスにて、特にやることなし。ちょっと奮発して日本食レストランに行こうとしたが、あいにく休業日。しかし、どうしてもアジア料理が食べたく、中華料理店でチャーハンを食す。ボリビア入ってずっとリャマ肉と…

おばちゃんプロレス、通称「おばプロ」を見てきた

リアルタイム 5/16 ペルー 歩き疲れた。明日も山登り。5/7 iPhoneのことは忘れて、夜行バスでポトシからラパスへ移動。確かBs.40(約600円)。道が悪く、途中ひどい乗り物酔いにかかり、危うく地球の裏側で醜態を晒すところだった。朝目覚めるとちょうどお天道…

さらば愛しの我がiPhone

リアルタイム 5/11 ペルー クソまずいサンドイッチを食べながら5/6 スマートフォンが出た手の頃、iPhoneというのはどうしても鼻持ちのならない存在であった。所詮意識他界系のおもちゃだろ、と斜に構え、ガラケーをやめてからもずっとandroidを使っていた。…

ポトシで鉱山体験

リアルタイム 5/9 ボリビア 味噌汁が飲みたいです。5/3 ウユニツアー解散後、とりあえず宿探し。地球の歩き方にも載っているHotel Avenidaに決定。シングル一泊Bs.50(約750円)。ホットシャワー付きと言われたが、ぬるかったのは不満。特にやることなし。5/4 …

ウユニ塩湖 どこまでも真っ白な、地上の雲海

リアルタイム 5/9 ボリビア ここで断っておきたいのは、現在ボリビアは雨季ではなく乾季。塩湖に水はなく鏡張りのような景色は見れないということ。「なんだあの鏡の写真が見たかったからページ開いたのに、時間と通信料返せ」という人はゴメス。しかし乾季…

いざ、ウユニツアーへ

リアルタイム 5/7 ボリビア iPhoneをスラれたので、iPhone撮影の写真をすべて紛失いたしました。渡部陽一も度肝を抜かす素晴らしい写真ばかりだったので残念です。5/1 本日はついにサンペドロ発ウユニ塩湖2泊3日ツアー初日。宿までピックアップが来るはずな…

サンペドロ 月の谷と壮大な砂漠

リアルタイム 5/3 ボリビア 現在富士山並みの標高にいます。酸素と共にユーモアも不足しているようで、書いてみたらつまらない文章になってしまいました。ただ結構綺麗な写真がとれたので、写真だけでもご覧ください。4/28 サンペドロ・デ・アタカマのバスタ…