文学

国分拓「ノモレ」

集団の記憶というものが、ある。 脳裏に蘇る光景が、なんだか自分一人の記憶でない気がしてくる。それは確かに僕が見た景色なのだけれども、僕ら(・・)が見ていたような感じもする。そんな体験が、ある。 新潮 2018年 02 月号出版社/メーカー: 新潮社発売…

BEST BOOKS 2017

2017年に刊行された単行本と文芸誌に掲載された作品が対象 10.橋爪駿輝『スクロール』 9.坂元裕二『往復書簡 初恋と不倫』 8.森見登美彦『太陽と乙女』 7.佐藤正午『月の満ち欠け』 6.こだま『夫のちんぽが入らない』 5.石井遊佳「百年泥」 4.滝口悠生『高架…

前田司郎「愛が挟み撃ち」

文學界掲載の前田司郎「愛が挟み撃ち」を読んだ。 文學界2017年12月号 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/11/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (1件) を見る 「愛の挟み撃ち」ではなく「愛が挟み撃ち」であるところがまず信頼できる。二人の男…

三島由紀夫『仮面の告白』

本日快晴。外では木枯らし一号が吹き荒れる。真っ青に晴れた高い空の下で、冬の訪れを感じさせるカラッとした北風に吹かれる瞬間の感情。夏の反対側に来てしまったという悲しい喜びが、憂いの光を浴びた冷たい頬を染めていく。こんな気持ちをみんなと分かち…

前野ひろみち『ランボー怒りの改新』

蘇我入鹿ロケットランチャーをぶちかますこの本を、読んだ人間の十人に八人は阿呆の世界だと表現するだろう。あとの二人は阿呆である。 ランボー怒りの改新 (星海社FICTIONS) 作者: 前野ひろみち,KAKUTO 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/08/11 メディ…

佐藤正午『月の満ち欠け』

輪廻というものがあるかと問われたら、何と答えるだろうか。「科学的」に答えるのならば、そんなものはないよとうそぶくほかない。死とは、向う側のない完璧な絶望である。人間は死んだら、一つの肉塊となるのだから、脳の活動停止とともに魂も消えるし、魂…

石井遊佳「百年泥」

新潮新人賞「百年泥」を読んだ。 新潮 2017年 11 月号 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/10/07 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (1件) を見る インドのチェンナイで日本語教師を務める女性の物語。作中、特に何かが起きるわけではなく、下手をする…

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最近読んだ本や聞いている音楽について 椎名誠『パタゴニア―あるいは風とタンポポの物語り』 パタゴニア―あるいは風とタンポポの物語り (集英社文庫)作者: 椎名誠出版社/メーカー: 集英社発売日: 1994/06メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 26回この商品を含…

魯迅『故郷』

魯迅『故郷』を読んだ。阿Q正伝 (角川文庫)作者: 魯迅,増田渉出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1961/04メディア: 文庫 クリック: 48回この商品を含むブログ (14件) を見る題名だけみると郷愁の想いをテーマにした物語に思えるが、この作品で描かれる「故郷…