バルパライソ 世界一汚い世界遺産

4/26(チリ時間)
リアルタイム 4/28(チリ時間)

キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラはその革命前夜に南米を二度旅している。一度目の旅においてチリの港町バルパライソを訪れた彼は、その町について自身の日記にこう記している。

バルパライソはとても画趣に富んでいて、湾に面した海岸に建設されており、街の拡大に伴って、海までつながる丘の方へと這いあがっている。螺旋階段やケーブルカーでお互いにつながっている、螺旋状の奇妙な亜鉛の建築様式は、色とりどりの家々が鉛色に近い青色をした湾と対照をなして落ち着きのない博物館のような美しさを引き立てている。
エルネスト・チェ・ゲバラ『モーターサイクル・ダイアリー』


後にこの街は世界遺産に認定され、現在では世界一汚い世界遺産として名を馳せている。本日はこのバルパライソを訪れる。サンティアゴからバスで約2時間(運賃は往復で530チリペソ=約900円)。バスターミナルを出ると活気の溢れた市場が広がっていた。お腹が空いたので早速肉を喰らう。

1000チリペソ(約180円)。美味。市場から街を見上げる。



市街地の方に歩いていくとこんな街並みに



世界一汚い世界遺産と言われるだけある。落書きだらけなのだが、どこか芸術的だ。そして坂を上って見張らしのいい場所にたどり着く。





バスターミナルへの帰り道で、一瞬海による。



鉛色かどうかはわからないが素晴らしい色である。

ちなみに、医学生であったゲバラはこの地を訪れた際、一人の貧しい喘息の老女を診察している。その時の体験が、貧困に強いたげられた人たちの理不尽な境遇に対する怒りとなり、革命の原点になったとも言われる。今回の訪問ではそこに貧しさというものをあまり垣間見ることはなかった。もちろん家はご覧の通り汚いものばかりだが、そこには何か絶望的なものは感じられなかった。もちろん観光客の目が届かない場所ではより一層の貧困がへばりついているかもしれないが、キューバ革命から約60年、今のこの街はゲバラの目にどう映るであろうか。