想像力の限度

ずっと自分の中で燻り続けているモチーフがある。極夜の東京。そんなものを想像してみると楽しくて仕方がない。もともと、ceroの「orphans」という曲で歌われる白夜の街という設定がすごく素敵に思っていた。単純な思考であるが、では逆に極夜とはどういったものなのか。それも、東京という街が昼間を失ったらどうなってしまうのか、気になってしょうがない。

それで、そんなモチーフから何かを抽出して創作物を作り出してみようと考えた。掌編でもいいので、みじかい物語を紡ぎたい。そういった野望で文字を打ち続けてみた。しかし、いざ文字にしようとすると全くダメなのである。イメージはあっても、言葉として成立させることが困難極まりない。そうやって書き手としての自信や希望をどんどんと自信を失っていく。

不安の中を歩き回っていると、そもそも自分の中に確固としたイメージがあったのかも分からなくなってくる。そうか、自分には想像の才能すら備わっていないのだと絶望する。宮崎駿には猫バスが実際に見えるのだと何かの記事で読んだ気がする。欲しいのはそんな力だ。果たして今から手に入るものなのだろうか。

とにもかくにも、心のうちに蓄えた心象イメージを豊かにしなければならない。今までぼんやりと見てきたイメージの正体を、両の眼を見開いて見破りたい。そのために何をするべきなのか。常に考え、常に想像を膨らませること。創作の中だけではなく、現実においても。今見ている景色の裏に見たいものを具体的に想像すべし。冷蔵庫の裏から巨大な龍が現れたりして。