ミュージックマガジンの特集「昭和歌謡ベスト・ソングス100[1970年代編]」が面白かったため個人でもやってみようという試みである。
対象は昭和の時代にシングルとしてリリースされた邦楽曲全般。両A面などもありとする。ただし歌謡曲の範疇から外れると判断したアーティスト(具体的にはサザンオールスターズ、PRINCESS PRINCESS、THE BLUE HEARTS、エレファントカシマシなど)は意図的に除外している。山下達郎や松任谷由実などのシティポップの系譜の扱いについては最後まで迷ったが、今回は対象とした。
1. 「SWEET MEMORIES」松田 聖子(1983)
本企画を思いついた時から一位はこれ以外ないと思い続けていた。もはやこの曲を一位にするために始めた企画かもしれない。数々の名カバーを生み出した稀代の大名曲であり、あらゆる歌い手たちの物語を引き出す普遍性には恐れ入る。松田聖子の表現力や松本隆の歌詞はもちろん、作編曲を担う大村雅朗の手腕も見逃せない。我が国のポップ音楽における一つの到達点。
2. 「木綿のハンカチーフ」太田 裕美(1975)
往復書簡形式で男女のすれ違いを表現する松本隆の歌詞が生きるのは、一人二役をこなす太田裕美の表現力があってこそ。2021年の映画『花束みたいな恋をした』を見てこの曲のことを想いだした。発表されて40年以上がたった今でもさびることのない名曲。
3. 「赤いスイートピー」松田 聖子(1982)
純白の権化ともいえる松田聖子の代表曲。みずみずしく歌い上げられる青春の輝きに、心の隅々までが浄化される。ところで、松田聖子はどこかの時期に別人と入れ替わっていると睨んでいるのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。
4. 「卒業」斉藤由貴(1985)
これまた松本隆・筒美京平の最強タッグ。斉藤由貴のどこか諦念あるいは達観を含んだ歌い方が楽曲全体に奥行きをもたらしている。「卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう でももっと哀しい瞬間に涙はとっておきたいの」この歌詞の素晴らしさよ。
解散のタイミングで発表された最後のシングルということを知ると、この曲の哀愁はさらに深みを増すだろう。笑い話で抑えようとしていた別れの悲しみが「おかしくって涙が出そう」前の高音への移り変わりでひょっこり顔を出してしまう、その表現が素晴らしい。
6. 「悪女」中島みゆき(1981)
7. 「時の流れに身をまかせ」テレサ・テン(1986)
8. 「守ってあげたい」松任谷由実(1981)
9. 「思い出がいっぱい」H2O(1983)
10. 「君は薔薇より美しい」布施 明(1979)
12. 「恋するカレン」大滝詠一(1981)
13. 「夏が来た!」キャンディーズ(1976)
15. 「じゃあね」おニャン子クラブ(1986)
16. 「グッド・バイ・マイ・ラブ」アン・ルイス(1974)
17. 「オリビアを聴きながら」杏里(1978)
19. 「ひとり咲き」チャゲ&飛鳥(1979)
20. 「クリスマス・イブ」山下達郎(1983)
22. 「渚のバルコニー」松田 聖子(1982)
23. 「タイム・トラベル」原田真二(1978)
24. 「愛を描いて -LET'S KISS THE SUN」山下達郎(1979)
25. 「The Stardust Memory」小泉今日子(1985)
26. 「チェリーブラッサム」松田 聖子(1981)
27. 「サボテンの花」チューリップ(1975)
29. 「結婚しようよ」吉田拓郎(1972)
30. 「ラヴ・イズ・オーヴァー」欧陽菲菲(1982)
番外
シングルではなかったため対象外となったが紹介したい曲。
「ひとつだけ」『ごはんができたよ』矢野顕子(1980)
「レモネードの夏」『Pineapple』松田 聖子(1982)
「14番目の月」『14番目の月』荒井由実(1976)
「恋の横顔」『Relief 72 hours』国分 友里恵(1983)
「ダンスホール」『回帰線』尾崎 豊(1985)