日曜。愛媛に帰省していた妻があふれんばかりの土産物を携えて帰京。いろいろと買ってきてくれたのだが、なによりも嬉しいのはミレーである。愛媛のお隣、高知のソウルフードとして知っている人の間では名高いこのお菓子は、言ってしまえば何の変哲もないビスケットなのだが、絶妙な塩梅でまぶされた塩味がほんのりとした甘さを引き立たせて食べる手が止まらない。はじめて食べたのは十年前の夏にとある企業のインターンとして高知に一週間ほど住み込みで働いていた時のことで、そのときも上手いとは思ったが、それから数年後に妻と高知旅行に行った際に久しぶりに口にしたら二人とも盛大にハマってしまい、お土産にジャンボパックを買って帰ったほどだ。最近は東京のスーパーでも見かけたりするからちょっとずつ浸透してきているのかもしれないが、この味のすばらしさはもっと広まって欲しいものである。そういえば、この系統のお菓子を結構自分は好んできた気がして、いちばん原初の記憶にあるのは、アスパラガスのビスケットだろうか。母親が好んで食べていて、たとえば小さいころ家族でどこかに出かけるとなったら、おやつとして携帯したこのビスケットを食べさせてもらった。特に夏場に汗一杯にはしゃぎまわった後に食べるその甘さと塩加減がたまらなく至福だったという記憶がよみがえってきたりよみってこなかったり。その夜。ドラマ「ひらやすみ」の見残していた配信話をすべてアマプラで見終える。もうすでにこのドラマの感想は世間の人々の手あかまみれになっているのでいまさらという感じもあるが、しかし本当によかったですね。森奈々の憎たらしい愛らしさと、吉村界人のそのまんまヒデキの感じが特に最高です。ほかに具体的なシーンでいえば、第七話のなっちゃんとあかりんが夜道を歩きながら心通わせていく場面があまりに眩しくて。それからやはり舞台の阿佐ヶ谷という街がそもそも素晴らしいんですよね。数年前まで荻窪に住んでいたのでよく通っていたのだけど、気取らない感じが花。ceroの高城さんが経営するバーrojiとか、本作でも少し映った古書コンコ堂とか、それから南口のアーケードの商店街の雰囲気も好ましく、どこに寄ってもほっとできる街でした。
週の半ばはすっかり体調を崩してしまった。下痢からはじまり、倦怠感、頭痛、悪寒のコンボ技に苦しみ、しまいには39度近くまで発熱。発症美の夜中はずっと悪夢にうなされていた。なぜかM-1の運営サイドとして各所の調整作業に奔走しなければならないという夢だった。なかなか治らず、チケットを押さえていたHomecomingsのライブも断念することになってしまった。ベースの福田穂那美さんのラストライブだったので何としても行きたかったのに。昨年の1月、ドラムの石田さんのラストライブは京都まで行って拝むことができたが、福田さんの最後の雄姿を見れなかったのは残念で仕方がない。ホムカミは何かと畳野、福富の両名にスポットライトが当たりがちだが、リズム隊のおふたりがいてこそのバンドだとも思っていたので、ふたりともいなくなってしまって寂しい。あのコーラスはもう聞けないのだ。寂しいので、代わりに彼らのpodcast「RUSHMORE MORE」の最新回を病床で聴く。「Cakes」のデモを出町柳で初めて聴き、めっちゃいい曲だったので京都駅まで歩いてしまった、という福田さんのエピソードが愛おしい。福田さんといえば、静岡に一人旅のエピソードもお気に入りで、なんてことのない旅ではあるのだが、ほんわかとしたしゃべりで語られる細部の本物っぽさがたいへんよろしく、焼きたてからちょっと経ったパンみたいな魅力がある。
そうこうしていると、半年前に応募したことばと新人賞の選評がメールで届く。通常の新人賞と異なり、2500円を申込料として支払う代わりに落選者でも選評が見れるという仕組みの取り組み。フィードバックがもらえるのは書き手にとって大変ありがたいので、どんなことを返してくれるのかなーと楽しみに選評ファイルを開いてみると、たったの90字弱でよく分からない抽象的な文章が書いてあるのみで、がっかり。要するに「あなたの作品はカスである」ということみたいなのだが、「なぜカスなのか」ということがまったく分からない。Xのタイムラインを見ると同様に憤っている人もいる一方、かなりがっつり選評の言葉をもらっている人もいるようで、どうやら選評者によって全然違うみたい。しかし、あまりにひどいよ、この選評者は。普段の選評と違ってお金が発生しているということを心得ているのか?プロとして失格だよ。
体調がやや戻ってきてからは、YUKIの新曲「Share」がとても良いので何度も聴いている。ポップスとしての慎ましやかな豪奢さがなんとも心地よい。YUKI固有のグルービーも健在だ。決して新しいことはしていないのだけれど、積み重ねてきたものでマンネリを超えてくる腕っぷしに感銘。遠出して立ち寄ったコンビニの店内放送でかかっていたらちょっと嬉しくなる。そういう音楽だと思います。

