2020/7/23の日記

人生2回目のコストコ。全てが馬鹿デカくてアメリカンな気分に浸れるのが良いのだけれど、すごい密な状態でこのご時世に少し心配ではある。吉本ばななTUGUMI』を初めて読む。エンタメ的なストーリー展開の中で時折ひかる情景描写の鋭さが魅力的。これが80年代感とでもいうのだろうか。ところでテン年代的ってなんなんだろう。

2020/7/21の日記

Pavementの「Spit On A Stranger」が最高だ。在宅勤務中もずっと聴いている。もともとはhomecomingsのガバーで知った曲。この黄昏感がたまらない。話は変わるけれど、2020年という時代の何処かには我々の知らないもう一つの世界線が広がっているような気が最近している。それくらいの妄想を楽しんでもバチは当たらないだろう。

2020/7/20の日記

『天気の子』公開から一年が経ったらしい。YouTubeでPVを見返したけれど、たった2分でこんなにワクワクさせる予告は他にないんじゃないか。天気ってのは人間にはどうすることもできないことのメタファーであって2020年の状況とリンクしてる云々も語りたいがちょっと野暮か。とにかく、「ねえ、今から晴れるよ!」この台詞がいまこそ一番求められているはず。そして、去年はしっかり「夏」があったんだよなーとか思ったりも。映画館でもう一度見たいぜ。

 

SaToA

youtu.be

最近はずっとSaToAを聴いている。とってもポップなんだけれども、ちょっと不安になることがある。心地よい不穏。なんだか今村夏子の小説を読んでいるような気分にさせてくれるバンドなのだ。

むかし、rumania montevideoというバンドがあった。それにも似ている。虚無感が溢れ出してくる感じ。こちらは自覚的でなっかったような気がするが、SaToAは確信犯だと思う。根拠はないけど。

外は暑い。蒸す。ほこりっぽい室内を扇風機が巻き上げるような昼下がりにでも聴くのがぴったりです。午睡のお供にいかがでしょうか。

youtu.be

 

KAITO『青のフラッグ』

青のフラッグ 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

青のフラッグ 8 (ジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:KAITO
  • 発売日: 2020/06/04
  • メディア: Kindle
 

高校三年生の太一は、ある日クラスメイトの二葉から相談を受ける。それは、太一の幼馴染・トーマへの恋慕の話であった。太一は、二葉とトーマをくっつけるために奔走するなかで、二葉への想いもつのらせていき・・・。親友か恋人か。ただそれだけならよくある青春三角関係物語なのだけれど、トーマにとって太一の存在が親友以上の重みを持ち合わせていることが、事態をややこしくする。三角の矢印が完全な形で循環する彼らの青春は、眩しさとか恥ずかしさとか美しさとかをたっぷりと含んで深まっていく。やっかいな三角関係は、夏祭りでの一件でいったんの完結を見るのだが、トーマに恋心を寄せるクラスの女王・マミの存在が再び物語をドライブさせる。思ったこと感じたことをずズケズケと口にする彼女の雄弁さに触発されてか、やがて太一たちの周囲の人物たちが自分の理想や考えをストレートに語り合うようになる。恋愛とは何か、友達とは何か、人生とは何か。若気の至りといえばそれまでだが、自分の人生に全力でぶつかろうとする高校生たちの眩しさが弾けていく。このあたりから「説教臭い」「台詞が多すぎる」といった批判も増えていった印象ではあるが、この主張の発露こそ『青のフラッグ』の最大の魅力であると主張したい。誤解を恐れずに評すれば、特にマミの台頭以降、この漫画は非常に観念小説的である。より正確に言うのであれば、観念が高校生たちに憑依した青春漫画なのだ。観念の傀儡に陥ることなく、太一・二葉・トーマの青春は完結する。最後の展開には賛否両論もありそうだが、そこまで含めてこの作品のすべてが好きである。

ここしばらく

4/27月

雨。一日在宅でデスクワークしていたせいなのかわからないが椅子に座っていると地震でもないのに揺れている気分を感じる。エコノミー症候群?憂さ晴らしに昨日配信されていたサンボマスターのライブ映像アーカイブ(すでに削除済み)を見て発狂していた。「青春狂騒曲」「美しき人間の日々」聴きながら気づいたらベッドの上ででんぐり返ししていたけどお隣に怒られないかしらん。コロナ終わったら絶対ライブ行く。

 

4/28 水

祝日の天気は晴れ。いよいよ春らしくなってきた。江ノ島でも行きたいところだが、かわりに『三体』に影響されて購入した「文藝」2020春号の中国SF特集をずっと読んでいました。昨今の中国文学に関する記事とか著名作家であるケンリュウなどの作品とかが掲載されていてそれはそれで面白かったが、個人的には、孫文の「大アジア主義主義公演」にファンタジー要素を取り入れた佐藤究「ツォンパントリ」という小説が一番よかった。歴史上の実在人物を扱った作品(時代小説とか)ってあまり得意ではなかったのだけれども、そこにファンタジー要素が加わると途端に好きになることが最近わかってきた(『三体』『熱帯』しかり)。さて、中国特集とは関係なく掲載されていた山下絋加「クロス」という中編についても語りたい。至極簡単に内容を説明するならば妻がいながら女装趣味が興じて同性愛に目覚めた男(女?)の話であり、物語としては面白く読めた。しかし、昨今の性的マイノリティあるいは人種的マイノリティを主人公とする小説が溢れかえった文壇の趨勢にはちょっとどうなんだろうと思う部分がある。それは自分がある種のマジョリティとして本来的に「理解できない」ということに由来する違和感なのかもしれないが。酷く反動的に思われるかもしれないが、感じてしまったものは仕方ない。まったく話は変わるが天国旅行というバンドの音楽にはまりそうだ。むかし、Lost in Timeというバンドが好きだったのだけれど、それと近い泥臭さとひりひりとした情動を感じる。

卓上の花瓶

卓上の花瓶

 

5/1 金

有給を取ったがどこにも行けない。しょうがないから冒険譚を読む。角幡唯介『雪男は向うからやって来た』は雪男さがしを目的としたヒマラヤ探索について描いたノンフィクション作品、なのだが、その探索の記録そのものが主題であるわけではないという点が味噌。19世紀以降の世界の探検家がどのように雪男に魅せられてきたのか、個々の物語が交差していく記述のあり方がとても面白い。

雪男は向こうからやって来た (集英社文庫)

雪男は向こうからやって来た (集英社文庫)

  • 作者:角幡 唯介
  • 発売日: 2013/11/20
  • メディア: 文庫
 

ここ二日くらいは東京の感染者数が二ケタに抑えられていたのでそろそろ光明が見えるかと期待していたが、今日は165人感染と報道されて落胆が大きい。しんどいな。

 

5/2 土

FODの会員登録初月無料を利用して、ついに『映像研には手を出すな!』のいっき見を開始!一応とびとびで放送は追ってはいたのだが、まとめてみられる喜びはひとしお。妄想が現実を追い越していくさまがどうしようもなく愛おしい。『桐島』のラストシーンがずっと続くようなものである。極めつけは第七話の水崎氏の台詞。

 

どこの誰だか知らないけど、あんたのこだわりは私に通じたぞって。

私はそれをやるために、アニメーションを描いてんだよ。

 

 

チェーンソーの振動が観たくて、死にかかっている人がいるかもしれない。

私はチェーンソーの刃が跳ねる様子が観たいし、そのこだわりで生き延びる。

大半の人が細部を見なくても、私は私を救わなきゃいけない。

動きの一つ一つに感動する人に、私はここにいるって、言わなくちゃいけないんだ。

 

 

5/3 日

引き続き『映像研』を鑑賞。芝浜という架空の街を練り歩く回が大好きだ。複雑な水系、地下商店街、街好きには興奮必至のガジェットでいっぱいだ。こんな街を訪れてみたい。並行して青来有一『悲しみと無のあいだ』という小説を読んでいたけれど、こちらでは長崎という具体的な街が細やかに描写されていて旅情が高まる。2年前に訪れたがまた行きたい。最近、行きたいところが多すぎるので、空想地図を創作して自分の考える最強の街を表現してみたいとおもう。中学時代は一人で空想地図を作っていたな。近くを散歩していたら、鯉幟が上がっていた。こんな状況でも子供の日はしっかりやってくるんだな、と当たり前のことを考えていたりもした。

悲しみと無のあいだ (文春e-book)

悲しみと無のあいだ (文春e-book)