年末年始のこと
12/28
Homecomingsのワンマンツアー「angel near you」を見にツレとZepp Shinjukuへ。一月の石田さんラストライブを京都に見に行ってから、それ以来のホムカミライブ参戦となりました。11月に出たアルバム「see you, frail angel. sea adore you.」の曲を中心としたセットリストで、代表曲である「Hurts」や「I WANT YOU BACK」はやらなかったが、それでも大満足の内容。特に「Air」の出来がすばらしく、新たな代表曲になること間違いなしではないでしょうか。サポートに入ったユナ(元CHAI)のドラムが非常にタイトで、スローテンポな曲もよく締まっていた。MCでのやり取りもチャーミングで魅了されました。あと、MCで福富さんが畳野さんに「おもしれー女」とふざけて言うくだりがあったのですが、それに対して畳野さんが素早く「女って言うな」とキレていたのが個人的にツボ。
Homecomings oneman live
— 百目鬼祐壱@文学フリマ東京39 せ-07〜08 (@disjointtt) 2024年12月28日
“angel near you”見てきました。とにかく「Air」のアレンジに痺れた。「US」はすっかりホムカミの代表曲になったね。 pic.twitter.com/Y76HWGzWJv
12/29
芥川賞の季節だ。1月15日に選考会がある。毎回、候補作を全部読んで受賞作を予想する試みを勝手にやっているので今回も読まねば!ということで掲載誌は揃えた。しかし、候補作は全部無料公開するなどしてほしいものです。M1みたいに、市井の人々による受賞作予想をコンテンツ化していけばもっと盛り上がるだろう。せっかくの出版界のお祭りなのだから、もっとエンタメとして力を入れてもらいたい、などという不満はまあどうでもいい。候補作のひとつである乗代雄介の「二十四五」はすでに読んでいるので、のこりは4作品。まずは「DTOPIA」(安堂ホセ)から手を付けた。この作家はこれまで二度候補になっているが今回が一番面白く読めた。特に前半、題材とした恋愛リアリティーショーの様子を描いたシーンは結構面白い。ただ、後半以降がいつもの暴力的要素に終始していて、全体のまとまりにやや欠ける印象はある。午後、笹塚の漫画喫茶に行く。まだ読んだことのない古典的作品を読もうと、友人が推していた『火の鳥』を読み始めたが、SFとしてのスケールの大きさに感動。手塚作品は『ブラックジャック』『鉄腕アトム』は実家にあったので通ってきたが、それ以外は全然通ってきてなかったな。それから、押見修造『血の轍』を読んで、驚愕。すごい作品だと話は聞いていたが、これほどとは。それにしても豪勢なページの使い方だ。見開き一ページの情報量の少ないこと。今般のトレンドの中ではあまりに異質ではないでしょうか。勢いで『惡の華』も全部読んだ。これももう最高である。大学生の時、スーパー銭湯で『BECK』全巻一気読みしたときの感じを思い出した。しかし、高校か大学初期に押見修造に出会っていたらとんでもない具合で傾倒していたと思う。
12/30
なぜか分からないがニャホニャホタマクローのメロディが脳内で延々と再生される。「トリビアの泉」で見たとき爆笑したし、いまだに記憶にこびりついている。トリビア、好きな番組だったな。一番笑ったのは歴史の教科書の落書きを調べるやつ。あ、でもそれはトリビアの種か。小便小僧を爆破させるやつとか、おならをごまかす方法を科学者たちで真剣に議論させるやつとかもよい。いい大人たちが心血を注いで無駄なことをする構図が好きだった。今年の夏、エジプトに行った際には、わざわざスフィンクスの目線の先にあるKFCで昼食を取ったぐらい好きだった。ただ、ニャホニャホタマクロ―のくだりは今考えると差別的だとかオリエンタリズムだと言われてもおかしくないんだろうな。元気にしてるだろうか。さて、今日も芥川賞候補作を読む。次は「ゲーテはすべてを言った」(鈴木結生)。ゲーテを専攻する文学者をめぐる物語。ちょっと堅いテーマだと思ったが、文体は意外と物腰柔らかというか、読みやすかった。
12/31
朝、読み残していた『学力喪失』を読み切ってから、昼食を取るために外に出るが、大晦日だからあまりやっていない。あまりいかないインド料理屋に入ってランチ。そこから電車に乗って実家に帰省。青砥駅からなら徒歩で帰れるのだが今回は新小岩からバスで帰ることにした。途中、紀伊國屋新宿で本をいくつか買う。新小岩駅で降りて駅前のカフェで『調査する人生』を読んだ。著者の一人である打越正行さんは先日亡くなってしまった。『ヤンキーと地元』の感想ポストに本人からいいねをいただいたのがつい先月。それからバスに乗って実家へ。バスはあまり乗らないのだが、この前つくった『スコール』という短編集でバスを舞台にした作品を書いた。甥っ子と河川敷に野球をしにバスに乗り込む話。その中ではバスに乗っているとなんだか眠くなるということを書いたが、今日は居眠りなどはしなかった。バス停から実家までの間に川を渡るのだが、ちょうど夕暮れ時で、スカイツリーと富士山が夕焼けに映える。学生時代はよくこのあたりをランニングした。家には二匹の猫がいてこれが本当にかわいい。夕食に年越し蕎麦を作ってもらった。テレビでは長嶋一茂や石原良純やらがしゃべるバラエティ番組が流れていて、全然面白くないのだが、両親は楽しそうに見ていた。それから、紅白を見るでもなく部屋で新潮2024年11月号収録の芥川賞候補作「ダンス」(竹中優子)を読む。登場人物が魅力的で普通に好きな話だったが、芥川賞受賞になるかと言われるとどうなんだろう。上質な短編集に入ってたら素敵です。さて、一年の締めくくりとして久しぶりにブログを更新する。「2024年邦楽マイベスト10(シングル)」という記事です。ランキング系は考えるのが楽しい。いずれ平成ベストソング100とかもやりたいです。久々に更新したついでに自分の過去記事を読み返すと手前みそながら結構面白い。「青春ゾンビ」に憧れて始めたブログなので結構影響を受けているなと思いました。「青春ゾンビ」、最近は全然アップしていなくてちょっと寂しい。
打越正行『ヤンキーと地元』
— 百目鬼祐壱@文学フリマ東京39 せ-07〜08 (@disjointtt) 2024年11月19日
沖縄の若者をめぐるエスノグラフィーだが、まるで物語のような読みごたえ。分厚い記録の束。#読了 pic.twitter.com/KQE7XSBAC5
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家族で朝食。テレビでは羽鳥慎一が司会する何かしらのバラエティがやっていて今日も長嶋一茂がワーワー言ってる。大谷翔平に子供ができる、どんな子になるでしょうかみたいな話をずっとしていて、しょうもないし、ちょっとしんどい。猫と戯れてから、家を出る。快晴。高砂で京成金町線に乗り換えると、外国人観光客をちらほら見かけたが、みんな柴又で降りて行った。金町のプロントに入り、新潮2025年1月号の滝口悠生「歯ごたえと喉ごし」を読む。台湾旅行を舞台に、家族譚が語られる。奇異な親戚も出てくるのだが、なんだか安心する読み心地だ。そのまま文學界2024年10月号を開き、芥川賞候補作品「字滑り」(永方佑樹)に取り掛かる。特定の言葉が表現できなくなる現象「字滑り」をめぐる話で、初めのうちはSFとして設定を楽しく読めたが、どこからか物語の方向性というのか、どういう状況なのか見失い、結果的によく分からなかった、という感想でした。しかし、これは読み手の実力不足ゆえなのかもしれないので、なんとも言えません。家に帰り藤井風の紅白のパフォーマンスをYouTubeで見る。「やっぱ藤井風は、アーティストというよりは、宗教家だわ。」というXのポストを見かけたが、なるほど。音楽以外の面でもこれだけ見え方を気にするアーティストはいないのだろう。その根本にはしかし、人を驚かせたい、という無邪気な動機しかないように見えるのだが。帰宅後、新潮2024年11月号収録の、直木賞作家・小川哲と芥川賞作家・町屋良平の対談「これから作家を目指すひとへ」に目を通す。純文学とエンタメ小説の相違点が主な議題であり、小説の書き方についての直接的な指南は出てこないが、示唆に富むやり取りに溢れていて興味深かった。町屋良平は初期作品、特に『しき』は好きだったが、近頃はご無沙汰であったので、久々に読んでみたいなという気になった。対談で言及されていた『生きる演技』をとりあえず読んでみよう。
藤井風のパフォーマンス、あの映像の構造を、だれか徹底解説してほしい。理屈じゃとらえきれないけど、せめて理屈だけでも理解しておきたい。神企画すぎた。
— 工藤拓真|BrandingDirector (@TakumaKudo) 2024年12月31日
やっぱ藤井風は、アーティストというよりは、宗教家だわ。とても凄い意味で。
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猫と戯れてから、父の運転で祖父母の家に新年の挨拶へ向かう。父はいつも車内でJ-Pop詰め合わせセットみたいなプレイリストを流す。サザンとか大塚愛とかが流れる中、その時の気分にマッチしたのは「天体観測」「 Hello, Again 〜昔からある場所〜」あたり。良い歌。そういえば以前、hasami groupのクソカバーコンテストみたいな企画で、カラオケの「天体観測」のオケをバックに「病気が治ったら」(名曲)を歌う参加者がいたのだか、その時のチャット欄に「天体観測って本当に良い曲だよな」との書き込みがあった。こんな動画を見ている、斜に構えた人間からもその様な言葉を引き出すぐらいの曲なのだなと、なぜだか感動した記憶があります。祖父母ともに元気だったけれど、この歳(祖父は今年95!)になると流石に衰えはもう誰が見ても明らかで、それに色々と手助けや気遣いが必要になり、色々と疲れてしまった。帰宅後、湯船を張って、連れと夕食をとりながら『チ。』14話を見る。拷問シーンがしんどかった。
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初詣でツレと高幡不動に。初めて訪れたが、思ったより参拝客で混み合っていた。揚げ物の匂いに釣られて唐揚げを出店で買って食べる。ころもたっぷりで美味しかったけど胃もたれが不安になる年頃です。帰る途中に書店でいくつか本を買った。夜、おませちゃんブラザーズの動画「サブカルこじらせすぎて藤本タツキ嫌いの男にルックバックを強制的に見せてみた」を見る。一時期動画更新が止まっていたが、最近また動画を上げ始めたので嬉しい。みのミュージックでは紅白のB'zのパフォーマンスが取り上げられていた。B'z、小学校の中学年ぐらいまでは聞いてたけど高学年ぐらいから聞かなくなったので、昨今流行りの「B'zダサかった論争」はよく分かる。寝る前に、昼買った『脳と音楽』という本を読み始めたが、これが面白い。人が音楽を好きな理由を科学的に解説する内容。こういう、主観的に語られがちなフィールドを客観的視座からチャレンジする営みが好きなのです。