崎山蒼志という怪物の衝撃



崎山蒼志という怪物の才能に踏みつぶされてしまった。AbemaTV「日村がゆく!」で披露されたその楽曲の素晴らしさに魅せられた人は多いのでは。向井秀徳を彷彿とさせる存在感。不安定なボーカルと疾走するそのギターは、自転車でぐっと冬の坂を下るときのような焦燥感を薫らせる。それなのに本人は自転車に乗れないというのも最高だ。そして歌詞。でたらめな輩どもが使いたがるような大げさな漢語も難しげな語彙も一切なしに、ほとんど簡単な和語だけで作り上げたことばの世界が美しくきらめく。

冬 雪 ぬれて 溶ける

君と夜と春 走る君の汗が夏へ 急ぎだす

こんな歌詞を中学一年で作れるとは人生何週目なんだと問いただしたくなる。この言語感覚は審査員席に座るスカート澤部渡にも通じるところがあるような。なによりも、ルックスが信頼できる。これが量産型ロキノン系野郎みたいな見た目だったらすべてが台無しなのです。今後どのように飛び立っていくのかそれはわからないけれども、今すぐ音源が欲しいと思うのは一人だけではないはずだ。