ここしばらく

ある日。電車内、週刊誌の中吊り広告。グラビアのキャッチコピーは「25歳。遅咲きのシンデレラストーリー」。同い年の女性がビキニ姿で。自分は遅咲きですらない。何者にもなれず青年と呼ばれる時代も終わる。

ある日。友人たちと酒を交わす。久しぶりに飲みすぎたようで記憶に残るのは言葉の残骸だけ。本当にどうしようもなかった自分の中学時代のエピソードトークをある種の不幸自慢だと指摘されたことは覚えている。少し熱くなった。結局終電を逃す。同方向の友人がいたので、タクシーを拾うことに。せっかくだから一駅分歩こうということで、夜の東京を闊歩した。どうしようもないのだけど、何か美しさを感じた。何者にもなれずにここまで来たが、こういう一瞬に少し救われたりするからまだまだ生きられる。