ここしばらく

ここ数日はNetflixで『水曜どうでしょう』三昧だ。ベトナム縦断編、ずっと爆笑している。脱輪したまま放置された大型バス、フロントガラスの大破した対向車、接触事故を恐れぬバイク乗りたち。カブ旅のなかで出会う、日本の基準を激しく逸脱した景色たちの馬鹿馬鹿しさの前に私たちはただ笑うしかないのである。旅慣れていくなかで忘れてきてしまったアジアの混沌さに対する純粋な驚きを思い出させてもらっています。また旅に出よう。

 

さて、aikoのサブスク解禁も一大トピックでろう。健全な日本国民なので正座して聴きびたっております。熱心なファンというわけではないなだけれど、aikoの存在しない世界線は考えられないと思うくらいには好きだったりする。なぜそんな風に思うのかはよくわからないけども。aikoの前では批評すら野暮である、という認識はあるのですが、あえて語らせてもらうと、彼女のボーカルの独自性は子音"t"と"s"の歌い上げ方にあると主張したい。どうでもいいけど。

 

『ジョゼとトラと魚たち』が好きすぎて、サントラをヘビロテ。池脇千鶴サガン『一年ののち』の一冊を読み上げるだけのトラックが素晴らしいのである。

 

"いつかあなたはあの男を愛さなくなるだろう"と、ベルナールは静かに言った。"そして、いつか僕もまた貴方を愛さなくなるだろう"

『われわれはまたもや孤独になる。それでも同じ事なのだ。そこに、また流れ去った1年の月日があるだけなのだ…』

"ええ、わかってるわ"とジョゼが言った。

 

この言葉に惹かれて『一年ののち』をAmazonで注文した*1。読んだ。ここには、今この時の自分のすべてが描かれていると思った。そのような文学体験はなかなか味わえるものではない。人生で何度も読み直す本に出会えた気がする。

 

 

 

*1:本当は映画に出てくる単行本版が欲しかったのだが、8000円くらいするので文庫版で我慢した